京都大学 大学院情報学研究科
システム科学専攻 情報システム分野
Information Systems Group
Department of Systems Science, Graduate School of Informatics, Kyoto University
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不確実性の数理
〜 不確実性下での最適な意思決定をめざして 〜


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研究内容
わたしたちの身の回りには、不特定多数の利用者が競合する様々な情報・サービスシステムが存在し、そこでは、利用者とサービス提供者の双方が、不確実な情報に基づく意思決定を行っています。また、通常の日常生活だけでなく、例えば、確率的アルゴリズムを利用した研究・開発を行う際には、不確定な計算過程の挙動を予測し、計算の継続あるいは停止の判断を行う必要があります。当研究室では、こうした不確実性下での最適な意思決定をめざして、確率過程論、統計学、最適化理論、ゲーム理論などを用いた数理モデルの解析と応用に関する教育・研究を行います。以下にその具体例を挙げます。

マルコフ解析を中心とした確率過程論とその応用
マルコフ解析とは、不確実な現象に対するマルコフ性を利用したモデル化・解析と, それらを支える数理的手法の開発を目指す応用数学であり、確率過程論の中で最も応用範囲の広い研究分野の一つです。例えば、擬似焼きなまし法(SA)や、遺伝的アルゴリズム(GA)、機械学習でも用いられるマルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法といった確率的アルゴリズムの性能解析は、マルコフ連鎖(過程)のエルゴード理論を用いて行うことができます。また、混雑現象の数理モデル「待ち行列」もマルコフ連鎖の理論を用いて解析できます。当研究室では、将来の応用を見据えて、ランダムウォーク型マルコフ連鎖のエルゴード解析や、定常分布の数値計算法および漸近特性についての理論研究を行っています。

組合せ最適化問題の発見的解法に対する計算停止基準と性能評価手法の開発*
大規模な組合せ最適化問題を解く際には、ランダム多スタート局所探索法や、SA、GAといった確率的アルゴリズムがよく用いられます。確率的アルゴリズムは、実行時間の増加に伴って、より高い確率で質の良い解を出力しますが、計算過程が確定的ではないため、計算停止判断および性能評価は容易ではありません。当研究室では、この問題に対して極値理論を道具に研究を行っています。極値理論は元々、台風、洪水、大地震といった極端な事象のリスク評価のための統計理論として発展してきたものですが、これを確率的アルゴリズムが出力する解系列に適用し、計算継続時の挙動予測(推定)に応用します。これまでに、計算停止判断に向けた暫定最適解の平均改善率や、視覚的な性能比較を可能にするExpected Performance Profileなどの提案を行っています。
*この研究課題は檀 寛成 准教授(関西大学)、梅谷 俊治 准教授(大阪大学)との共同研究です。

情報・サービスシステムの確率モデリングと性能解析
インターネット、携帯電話、クラウドサービス、コールセンタ、空港、病院、大型商業施設など、不特定多数の利用者に開かれた情報・サービスシステムにおいては、利用者が限りあるサービス資源を求めて競合し、混雑現象が発生します。そうした混雑現象は「待ち行列」とよばれる確率モデルで表現できますが、従来の待ち行列研究では、利用者およびサービス提供者の「戦略」を意識しないモデルが解析の中心でした。しかし、現実のシステムでは、利用者およびサービス提供者の双方が、何らかの戦略を持って意思決定を行っています。当研究室では、そうした「戦略」を取り込んだ新しいモデル「戦略的待ち行列(待ち行列ゲーム)」に加え、従来型の未解決な待ち行列モデルや、その解析の基礎となるマルコフ連鎖に関する研究などを行っています。